ミッドセンチュリーモダン

ミッドセンチュリーモダンとは

20C半ば頃、アメリカを中心にデザインされた家具、建築などをさす。
狭義には、産業化された家具(インダストリアル・デザイン)、広義には建築まで含む。

<背景>

デザイン産業の舞台がドイツからアメリカへうつった時代

ナチスの弾圧でバウハウスは閉鎖され、多くの建築家はドイツを離れアメリカへ渡った。第2次世界大戦後、住宅の新築ラッシュや家具の需要が増える中、新素材や新しいデザインの家具が生産される。

<なぜアメリカか>

第二次世界大戦(1939-1945)で多くのダメージを負ったヨーロッパ諸国に対して、アメリカは無傷に近いかたちで世紀の半ばを迎えることができた。ドイツと日本から侵略も爆撃も受けなかった1940年代、アメリカは世界の需要を一手に引き受ける体力を持っていたため、世界産業の中心となる。

生産拡大→大量生産→コスト削減のサイクルによって、本格的に消費時代に入り、質の高い家具などがつくられるようになった。

同時に文化の隆盛もみられ、ハリウッド、ジャズなどの流行もこの頃がはじまり。

 

主な特徴

1. イームズと工業生産

戦時中の軍事技術であるプライウッド(成型合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの新技術は、戦後に平和利用され、人間の体にフィットする有機的な家具を量産した。いち早く実用化したのがイームズだった。

2. カリフォルニアの「ケーススタディ・ハウス」

1945-66の間、建築雑誌が出資した実験的住宅「ケーススタディ・ハウス」はモダニズム建築の手本となった。機能と自然の融合が実現している。

 

1. イームズと工業生産

<軍事技術の応用>

1940年代のはじめ、イームズはMGM社の映画セットの設計をしていた。そのなかで木材の成型技法の実験を行い、熱と圧力をかけて木材を成型する「成型合板」の新技法を発見する。

目をつけたアメリカ海軍が、負傷兵が使う合板ベニア板の添え木、担架、グライダーシェルなどの開発を依頼し、第二次世界大戦で利用された。

<イームズとエーロ・サーリネン>

ふたりは、MOMAが開催した「オーガニック・デザイン」展(Organic Design in Home Furnishings ,1941)のコンペに共同でエントリーし、成型合板の家具を多数出品した。そこで出品されていたうちの一つがオーガニックチェア。

© 2017 The Museum of Modern Art ©2017 VITRA INTERNATIONAL

イームズハウスEames House(ケーススタディハウスNo8)
1949 カリフォルニア ロサンゼルス パシフィック・パリサデス
設計:チャールズ&レイ・イームズ、(エーロ・サーリネン)
via wikipedaia

市販されているカタログから建材のサンプル選び、それらを組み合わせることでつくられた。きわめて編集的な住宅。

 

2. カリフォルニアの「ケーススタディ・ハウス」

ルドルフ・シンドラーは、アメリカへ移住後、尊敬していたフランク・ロイド・ライトの設計事務所で学び、その後ロサンゼルスで100件以上の住宅設計を手がけた。ノイトラとは大学時代からの友人。帝国ホテルの業務実績を通して師匠だったライトと揉め、喧嘩別れしている。

リチャード・ノイトラは、アドルフ・ロース、オットー・ワーグナーのもとで建築を学び、1923年アメリカに移り住み、のちに帰化している。タリアセンでライトの弟子として働いた経験をもつ。

<パーム・スプリングス>

戦火を逃れ、ウィーンから移住してきたリチャード・ノイトラとルドルフ・シンドラーは、1920〜30年代の若い建築家たちに強い影響を与えた。

彼らはライトの有機的建築とモダンスタイルがうまく融合されたオープンプランの平屋住宅を、ロサンゼルスとパーム・スプリングスの市内近郊で数多く建てている。

第二次大戦が終わると、彼らのスタイルはパーム・スプリングスに復活し、それを受け継いだのがピエール・コーニッグだった。

ローヴェル・ビーチ・ハウスローヴェル・ビーチ・ハウス
1926 カリフォルニア ニューポートビーチ
設計:ルドルフ・シンドラー
via wikipedia

Lovell House 健康住宅Lovell House 健康住宅
1927 カリフォルニア ロサンゼルス
設計:リチャード・ノイトラ
© wikiarquitectura

レイモンド・ローウィ邸レイモンド・ローウィ邸
1946 カリフォルニア パームスプリングス
設計:アルバート・フライ
via spfaust

<実験住宅「ケース・スタディハウス」>

ケース・スタディハウスとは、1945年、雑誌「アーツ&アーキテクチャー」の編集長だったジョン・エンテンザの企画で行われた実験住宅プロジェクト。メディアが主体となって、新しい南カリフォルニアの住宅スタイルを提案、発信しようという企画。

ケース・スタディハウスの企画を通して初めて考えられた住宅のアイディアは数多くあり、それらは現在の住宅のスタンダードになっている。

我々がごく当たり前だと思っている、夫婦二人+子供の核家族のための自動車2台のパーキングがついた住宅というプログラムは、実はここで歴史上初めて提案され、実現したものだ。

また、平屋のオープン・プランを基本とするという平面計画のルールは、オープン・キッチンという新しいスタイルを生み出し、そこで展開されるであろう新しいライフスタイルを我々に垣間見せてくれた。

それ以外にもこのケーススタディハウスがはじめて提案したものは沢山ある。南カリフォルニアの温暖な気候を積極的に取り入れた提案、たとえばパティオでの屋外ダイニングやプールのあるライフスタイル、あるいは今ではアジアのリゾートホテルでは定番となったリフレクティング・プールという水の表現もここが起源である。出典:建築家・岸和郎氏によるイームズ・ハウスの解説 via webdice

Case Study Houses Map
Case Study Houses Map

ベイリー邸(ケーススタディハウスNo21)ベイリー邸(ケーススタディハウスNo21)
1958 カリフォルニア ロサンゼルス
設計:ピエール・コーニッグ
© Grant Mudford via archidaily

スタール邸(ケーススタディハウスNo22)スタール邸(ケーススタディハウスNo22)
1960 カリフォルニア ロサンゼルス
設計:ピエール・コーニッグ
via histarq

 

関連書籍

『Charles & Ray Eames: 1907-1978, 1912-1988: Pioneers of Mid-century Modernism (Basic Art) 』,Gloria Koenig,Taschen America Llc,2015
『イームズ入門―チャールズ&レイ・イームズのデザイン原風景』デミトリオス イームズ (著), Demetrios Eames (著), 助川 晃自 (著), 泉川 真紀 (著),日本文教出版,2004
『Case Study Houses New Basic Architecture Series』,エリザベス・A・T・スミス (著), エリザベス・A.T.スミス (編集),タッシェン・ジャパン,2006

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